映画『プレデスティネーション』

2014年のオーストラリア制作作品(Predestination)。
イーサン・ホークが時空警察を演じるサイエンスフィクション サスペンス。

すすめる?

少しくらい難しい映画が大丈夫であれば、とても面白い。
タイムループや、タイムパラドックスを題材とした映画は多いでしょう。
それこそ使い古されて手あかがついています。

しかしこれは面白い。この発想はありませんでした。

私は鑑賞後に「すっごいな」と呟きました。

ぜひ、事前情報なしで鑑賞ください。
ただし、SFを期待すると、前半部の半生語りで力尽きるかもしれません。

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あらすじ

エージェントが、あるビルの地下で爆弾の解除作業に取り掛る。あと少しで完了という時に後ろに人影を感じ、銃を抜くエージェント。
銃撃戦になるが、隙を見て爆弾の処理を遂行した。
しかし、時間が足りず不完全な処理になったために、エージェントは爆発の炎で顔を焼いてしまう。
のたうち回るエージェント。そこへ人影が近づき、エージェントが求めていたヴァイオリンケースを渡す。

医療施設で目覚めたエージェント。彼は顔も声帯もやけどを負い、手術の結果、別人の顔となった。
そして、回復した彼に最後の指令が届く。

1970年11月6日
過去に跳躍したエージェントはバーテンダーに扮している。
そこへ妙な男性客がやって来た。
機嫌が悪そうに見える客は、ペンネーム”未婚の母”という作家だった。
バーテンダーは彼の作品が載っている雑誌を見せ、彼の読者だと語り掛ける。

”未婚の母”は男性でありながら女性心理を描くのが上手い。
なぜか?

理由を聞かせろと問い詰めるバーテンダー。
理由の面白さに、バーテンダーはスコッチウィスキーを1瓶、客はチップ20ドルをかけ、身の上話を始めた。

“未婚の母”は1945年9月13日に女として生まれ、孤児院の入り口に放置された。
ジェーンと名付けられた彼女は健康な体と、数学と物理に対する才能を宿していた。
成長したジェーンの下へスペースコープ社からスカウトにロバートソンという政府職員が訪ねて来た。
スペースコープ社での検査、トレーニングの全てに対して、ジェーンは才能を発揮した。しかし、他の候補生との殴り合いの喧嘩が理由で追い出されてしまう。
ロバートソンはジェーンに対して、審査会に掛け合って迎えに行くことを約束した。

ロバートソンの言葉のみをあてにはできないと考えたジェーンは、昼は家政婦をしながら夜は学問にはげむ。
そこで思いがけず恋に落ちた彼女は、身元のはっきりしない男と暮らし始めるた。しかし、1年後に恋人は姿を消す。

失望しているジェーンの下へロバートソンが再びスカウトに訪ねて来た。
しかし、ジェーンは恋人の子供を身ごもったことが明らかになり、採用を断念する。

その後、ジェーンは帝王切開で無事に女児を出産した。
帝王切開の際に、ジェーンが両性具有であることが明らかになる。
医師は、出産の際に、子宮摘出が余儀なくされ、今後の彼女は男性として生きることになることを告げた。

ジェーンは、男性として生きる決意を固め、娘に尽くすことを決意する。
しかし2週間後、何者かが子供を新生児室から誘拐した。

そして、生きるためにタイプライターを学び、作家、本名ジョンとなり今に至る…

ここまで聞いたバーテンダーは問いかける
「おまえの人生を壊した男を差し出すと言ったら?」
「お咎めなしだとしたら 殺すか?」

結末まで

バーテンダーは地下室へ男性客のジョンを案内する。

バーテンダーは、ヴァイオリンケース型のUSFF「時標変界キット」を取り出す。
そして、信じきれないジョンとともに1963年4月3日に跳躍する。ジョンが自分の人生を壊した男に会った日だ。

ターゲットの男を探すジョン、そこへ背後から女性がぶつかって来た。女性は昔の自分自身。ジェーンであった。
ジェーンに恋に落ちたジョン。

2人を残してバーテンダーは1970年3月2日に跳躍する。
彼がビルの地下で爆弾魔をとり逃した日だ。
再び爆弾魔と対峙し再び取り逃したバーテンダー。彼は、顔を焼いた過去の自分に「時標変界キット」を差し出し、爆弾の破片を回収し、1964年3月2日に跳躍する。

1964年3月2日、ジェーンとジョンの子供を回収し、バーテンダーは1945年9月13日へ跳躍。孤児院の玄関に生まれたばかりの赤ん坊を放置する。
こうして、自分の尾を噛むヘビ、タイムトラベルの矛盾から生まれる、この世で唯一の過去から切り離された存在が誕生した。

そしてバーテンダーは1963年6月24日へ跳躍しジェーンと恋に落ちたジョンを回収する。

「俺のことも分かる頃だろ」
そう語りかけるバーテンダー。
バーテンダーこそ未来のジョンだったのだ。
ジョンを説得し、バーテンダーの後を継ぐエージェントに仕立て上げる。

最後の任務を終えたエージェント。
彼は1975年1月7日へと跳躍し、ウィスキーの瓶を開ける。
引退により、機能を停止するはずの「時標変界キット」。
しかし、エラーを発生し、機能を停止しなかった。

捜査を続け、かつて取り逃した爆弾魔にコインランドリーで邂逅したエージェント。
そこで見たのは未来の自分だった。
「俺ら二人には互いが全てだ」
「他には何もない」

そう語りかける未来の自分の胸を撃ち抜き、因縁の爆弾魔との決着をつけた。

感想

実は伏線だった会話の魅力

ジェーン、 ジョン、 バーテンダー、爆弾魔がすべて同一人物
つまり、自分は自分の父であり、母であり、宿敵です。

そうすると、顔に火傷を負い、顔を作り替えられたエージェントのセリフ
「お袋でも気付かないな」
これも、意味のあるセリフです。お袋は自分自身なのですから。
そして、次の任務は、お袋に気が付かれては失敗するのです。

ジョンの半生語りも気になるセリフがあります。
「この顔を見ると人生を壊した男を思い出す」
それはそうです。本人なのですから…

ジョンは子供を攫った男についても語りました。
「お前や私のような細身の顔らしい」
攫った本人ですからね。

バーテンダーの言う
「おまえの人生を壊した男を差し出すと言ったら?」

鑑賞後にこれら全てが繋がるのが気持ちいい

ちょっと考察っぽいもの

爆弾魔を撃ち殺し、因果は断たれたのか?
断たれていないのですよ。
バーテンダーだったエージェントはこの後も人命を救うために時限跳躍を続け、精神と肉体に負荷をかけ続けます。
そして、認知症を発症、狂気にとらわれた爆弾魔になるのです。
過去の自分に殺されることも忘れ…

宿命は変えられない

そして、機能停止しない「時標変界キット」や、最後に手渡された爆弾魔の資料、彼自身がタイムワープを使用して未来から過去へと干渉し得る人間であることからして、エージェントが爆弾魔になるのは、ロバートソンの思惑通りということでしょう。

どうでもいいことですが

日本のポスターはちょっと違う気がする。
「時空へ逃げても追い詰める」
この映画は、時空へ逃げた男との戦いではなくて、時空へ囚われた男の物語として捉えるべきと思う。

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