【オー!ファーザー】

動機

新潮文庫の100冊 2018年版を読む
5冊目

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伊坂幸太郎さんご本人も仰るように、作風がだんだんと変わってきているのを感じます。
年代が経つにつれて、だんだんと暗くなっていき、陰鬱な雰囲気を感じます。

私は初期の作風が好きです。

「陽気なギャングが地球を回す」とか「死神の精度」をお勧めします。

内容

由紀夫には父親が4人いる。

悟は大学教員。博識で落ち着いた口調の識者。
勲は中学校教師。バスケットボールと格闘技を愛する偉丈夫。
葵は飲み屋の店員。女性に声をかけずにはいられない色男。
鷹は、様々な博打に手を出すギャンブラー。

彼らの共通点は麻雀を好むこと。
そして、由紀夫の母に四股をかけられたことだ。

四股の結果の子供であろうと、普通ならば遺伝子検査で誰が父親か判断するところだ。
しかし父親たちは、誰が本当の父親か確かめる勇気を持たず、一妻多夫を選択した。

由紀夫は、鱒二という何かと考えの浅い友人を持っている。
この友人のその場しのぎにつき合わせれた結果、由紀夫は不良集団に追われる。
不良集団が和解の条件としたのは、街の裏の権力者、富田林の荷物を運搬すること。しかし、運搬当日に鱒二は見事に寝坊する。
裏の権力者、富田林にまで追われる身となった鱒二を助けるために、交換条件として、富田林の逆鱗に触れた詐欺師を見つけることを由紀夫は決意した。

由紀夫には、詐欺師と聞いてピンとくるものがあった。
しかし見事に当てが外れた。

今度は自らが危機的状況に陥った由紀夫。
彼を助けるために父親たちは奮闘する。

父親が4人もいて子供を守れないのでは話にならない。

感想

陽気なギャング達は、それぞれが賢く癖がある人物であるために、瀟洒な会話が気持ちよく回っていました。

本書の主人公の由紀夫は斜に構えた高校生で、会話劇が面白くなるでもなく、空回りする印象が強いです。
賢いかもしれないが、つまらない人です。

しかし、周りの大人たちは素晴らしく楽しい。
「不登校の友人をどうやって部屋から呼び出すか?」
その問いかけへの答えにそれぞれの特徴が滲み出る。
勲は、壁をぶち壊せば、部屋ではなくなる。という頓智のような武闘派な回答をし、
鷹は「全部知ってるぞ」と、鎌をかければ気になって出てくるという、ギャンブラーらしい回答を披露します。
賢い悟は、「『俺が、おまえを助けてやる』とか、そういうのははどうだ」と漢らしい提案します。
葵は実際に由紀夫と一緒に不登校児のところへ着いて行きます。

もう由紀夫は要らないから、彼らの会話だけ聞いていたい。

そして最後に作中全編にわたってちりばめられた伏線が、にきれいには嵌っていく様が気持ちいい。

残念なのは、由紀夫の駄目な友人の鱒二が痛い目に合わなかったことです。
彼は一度痛い目に合わないと学習しないでしょうが、鱒二の父を含めた優秀なる父親たちに助けられ、学習する機会はなくなってしまいました。


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