【聖なる怠け者の冒険】

今回は
『聖なる怠け者の冒険』 森見登美彦 著です。

動機

朝日新聞に連載されていた『聖なる怠け者の冒険』が、森見登美彦氏との出会いでした。

これは面白そうな文章だ。
そう思い、『夜は短し歩けよ乙女』『太陽の塔』など、その時に文庫になっていた本はすべて読みました。

『聖なる怠け者の冒険』も文庫になったことは知っては居ました。
いつか読みたい。そう思いながら、なかなか機会がなく、時間と財布に余裕ができた今、ようやく手に取りました。

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あらすじ

主人公は京都郊外の化学企業で研究員をする若者、小和田君
彼は、田んぼのタニシの方が活動的だと評されるほど、万年床でゴロゴロすることを愛する男だ。
彼の週末はもちろん静謐なものとなる。
しかし、そうはいかないときももある。金曜の飲み会の後、学校の校庭で椅子に縛り付けられた状態で目覚めた彼の宵山の土曜日は静謐からは少し離れたものとなる。

彼を椅子に縛り付けたのは、ぽんぽこ仮面と名乗る京都で愛される怪人である。ぽんぽこ仮面は小和田君を跡取りにしようと画策するようだが、ぽんぽこ仮面自身も面倒ごとに巻き込まれ、散々な宵山の土曜日を過ごすこととなる。

感想

朝日新聞の連載時とは随分と内容が変わったようです。
随分と昔のことなので記憶が定かではありませんが、連載時には小和田君が大学時代の同期の夏目巡査と、うなぎ屋に入る描写があったような気がします。

「学生時代にこんなところに入っていては、贅沢警察に捕まります…」

といった会話があったような?
結末も変わっているのではないでしょうか?

いつも通りに人間が右往左往し、タヌキが踊るのですが、広げた風呂敷をたたむのに苦慮した様子が伺えます。
普段以上に苦しいです。
風呂敷の畳みかたがとにかく苦しい。そこが面白いと言えば面白いのですが、こんなにもファンタジー要素が強かったかしら?

浮きすぎだ! も少し地に足をつけてくれぃ!!

結末は、『太陽の塔』のええじゃないか音頭を彷彿とさせるもので懐かしさを感じました。
その点では、いたるところに過去の作品を思い出させるものがあります。
そういう楽しみ方が正解なのかもしれない。そう感じる作品でした。

余談ですが、森見氏の作品の主人公は、『太陽の塔』の煮詰まった大学5回生に始まり、3回生や、タヌキやらと、主人公がだんだんと柔らかくなっています。
これが森見氏の精神状態がよろしくなっていることを示していることを願ってやみません

すすめる?

誰にでも薦められる本ではないです。

余りにも登美彦節が全開過ぎて、ついていけない人の方が多く、本書を単体で読んでもあまり面白くはないでしょう。
例えるならば、内輪ではウケるけれど、傍で聞いても全く面白くない冗談のようなものです。

先に『宵山万華鏡』などを読む必要があるでしょうし、単体で読むならば『夜は短し歩けよ乙女』などの方が楽しめるでしょう。

そして、森見登美彦氏の本を読み漁っている人ならば薦めるまでもなく読んでいる。
いずれにせよ人に薦める本ではないかな。


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